世界で幅広く活躍する指揮者・作曲家。1994年よりセント・オラフ・バンドの常任指揮者に就任して以来、全米各地で演奏活動を行い、2016年には創立125周年を記念してカーネギーホールへの単独公演を行った。また、メキシコ、日本、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパへのツアーで高い評価を得た。2021年、吹奏楽部門で「The American Prize」を受賞。演奏技術の高さだけではなく、新鋭作曲家へ委嘱を意欲的に行い、プログラミングでも高評価を得ており、常に米国吹奏楽界をリードする存在である。これまでに、マーは、米国空軍バンド、米国陸軍フィールドバンドを客演指揮するほか、コミュニティバンドにとって世界最高峰の名誉にあたるジョン・フィリップ・スーザ財団のサドラー・シルバー・スクロール賞を授与されたミネソタ・シンフォニック・ウィンズの首席指揮者も務めた。
米国の吹奏楽を代表する作曲家としても知られるマーは、100作を超える数多くの作品を世に生み出している。1980年代前半に、セント・オラフ・バンドは、マー氏の処女作と2作品目を初演し、1991年のバンド創立100周年を記念して《フェスティヴァル》を委嘱。マーは、2016年に、全米の50以上の大学、コミュニティ、高校などより委嘱された《交響曲第1番》を発表。1991年、《空高く舞う鷹》で、アメリカ吹奏楽指導者協会の最高作曲賞であるオストワルド賞を受賞した。
セントオラフ大学音楽理論科、作曲科、音楽教育科学士号修了、アイオワ大学にて修士号、博士号取得。
ノースセントラルCBDNAの元理事長。全米バンド・アソシエーション元理事。また、ミネソタ州吹奏楽連盟創立メンバーでもある。
セント・オラフ・バンドは米国ミネソタ州のノースフィールドを拠点に活躍するカレッジバンド。個々の演奏者の技能、そして、アンサンブルのレベルの高さは国際的にも定評があり、かつて演奏ツアーで訪れた世界各地で大絶賛を博している。
セント・オラフ・バンドは1891年にセント・オラフ・コルネットバンドとして創立され、現在ウィンド・アンサンブルとして幅広く活動を続ける。1906年には、米国カレッジバンドとして初めてヨーロッパ・コンサートツアーとして、4週間に渡り30箇所でコンサートを行い高い評価を得た。現在まで米国内は勿論、ノルウェー、英国、メキシコ、ヨーロッパの各国を遠征。1977年、1980年、そして1984年に英国遠征を行った際には英国陸軍軍楽学校軍楽隊とネラー・ホール (Kneller Hall) でジョイントコンサートを行った。セント・オラフ・バンドは、唯一、英国陸軍軍楽学校軍楽隊とジョイント演奏を行った米国大学バンドである。また、1991年6月に再び渡英した際には、セント・オラフ・バンド設立100周年を祝い、英国各地を廻るコンサートツアーを行う。
1994年からはティモシー・マーが教鞭をとり、バンドを新時代へと導く。1997年に開催されたアメリカ吹奏楽指導者協会で米国内から選抜された4つの大学バンドの1つとして演奏を果たす。2000年には英国、アイルランド、ウェールズ地方を遠征した際には、ロイヤル・アイリッシュ・アカデミー・ウィンド・アンサンブルとノルウェー・マジェスティー・ガード・バンドとの3団体でジョイントコンサートを大々的に開く。また、2004年には全米音楽教育者カンファレンスのオープニングコンサートとして迎えられた。同年にメキシコへ渡り、メキシコ国内の数多くのコンサートホールで演奏を披露。その演奏は、メキシコ最大のクラシカルFM局で放送され、演奏の完成度は話題を呼び、評価を得た。2016年には初のカーネギーホールでの単独公演を実現させた。2021年、セントオラフ・バンドは、「The American Prize」吹奏楽部門最優秀賞を受賞。2020年の国内ツアーでの「Imagining Peace」と題したプログラムは高評価を得た。ジャパンツアーは2010年以来13年ぶりとなる。
「私たちには、約130年にわたる創造性、音楽表現という受け継がれた財産があります。この遺物は、後世の人々に託すべき重要なものであり、それが我々の責務なのです」と指揮者のマーは語る。